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DSA 250z 数多くの導入実績を持つビームステアリング(可変指向角)スピーカー 「DSA Pilot」にて現場に適したカバーエリア、EQなどの調整可能

DSA(digitally steerable array)デジタル可変型アレイスピーカー

DSA250zは垂直指向性を会場に合わせて設定できるコラムタイプのアレイスピーカーシステムです。使い方が簡単なソフトウェア「DSA Pilot」で、スピーカーからのカバーエリアを正確に調整することができます。これまでのEAW製スピーカーと同様に、DSA250zはフルレンジ帯域でボイスレンジから音楽再生まで対応します。残響が長く建築音響的に問題のあるような劇場、ホール、宗教施設、テーマパーク、商業施設、公共施設、講堂、大規模会議室、博物館、ショッピングモールなどの現場が理想的です。また、残響が長く音響的に問題のあるような、教会やコンサートホール、宴会場、公共交通施設、広いロビー、意匠にこだわった建物にもマッチします。シグナルプロセシングとアンプ部を内蔵し経済的で簡単に使えるシステムの為、音響的、物理的、または意匠的な課題を持つ現場に適し、これまで多く採用されてきました。

システムの概要

図1. DSA250z

左図1のDSA250zは指向性可変可能でパワーアンプ部を内蔵した2ウェイのラインアレイです。各スピーカーシステムの垂直放射幅は、ユニットごとに内蔵されているDSPとパワーアンプの設定によって定義されます。DSA250zはラインアレイの個々のユニットに異なるシグナルディレイをかけることで、出力のロブ(音の膨らみ部分)を効果的に「操作」するテクノロジーを応用しています。垂直のロブを単純に操作するのではなく、垂直面でのロブを有効なものとする事で、DSA250zはリスニングエリアに適した指向性へと変更しスピーカーからの距離による音圧差を減らすことができます。

図2. DSA専用ソフトウェア「DSA Pilot」

EAW のWindowsで動作する「DSA Pilot」でスピーカーシステムごと、あるいはスピーカークラスターごとに各パラメータを設定します。(図2参照)。このデータはオフラインで設定したものをDSA本体にアップロードも可能ですがオンライン状態でリアルタイムに設定する事も、DSA本体からダウンロードすることも可能です。DSAPilotとDSA250zは通常RS-485 を使って通信します。オプションでCobraNet ネットワークインターフェースも使用可能です。

垂直指向角をDSPで制御

DSAは壁面などに垂直に取り付け、現場に合わせて垂直指向性をDSPで制御する事ができます。具体的には垂直指向パターンを15度から120度まで、放射角は±30度の範囲で設定が可能です。(図3参照)直接音を必要なエリアに向けるよう現場に合わせて調整するため、直接音の比率が高まってスピーチの明瞭度を十二分に向上します。もちろん非対称の指向性を設定できるため、スピーカーからの距離によるレベル差を調整することも可能です。

DSA は放射幅を変えて、本来の軸以外に向けます。DSAのこの放射のパターンは、同じ水平・垂直指向角度を持つ従来のスピーカーを傾けたときとは全く異なります。従来のスピーカーを物理的に傾けたときのEASEプロット(図4左図)によると、壁面に向かうエネルギーが多く、客席に向かってくる反射が強くなることが予想できます。

一方DSA の音圧レベルは図4右図で示した通り、カバーエリアでより安定しています。 側面の壁にぶつかるエネルギーがかなり少なく、壁や床からの反射音が直接音と短いの時間差で客席に到達するため、明瞭度を高める役に立っています。また、DSAはDSAへの背面の回り込みでさえ役に立てています。800HzまではDSAの背面への回り込みが発生していますが、実際にはこのエネルギーも同じように下向きに操縦されています。このためエネルギーがDSA を取り付けた壁面に反射し、同じ下向きの角度で本体前面側の半球に戻っていくのです。

図3. 指向性変化

図4. 従来のスピーカーを用いた場合とDSAを用いた場合のEASEプロット
左図は従来スピーカーを用いた場合、右図はDSAを用いた場合です。赤い色が濃いほど、音域が高い事を意味します。

音響的な特徴

図5. DSAの構成

DSAの優れた操縦機能を幅広い用途で実現するためには、音楽再生に適したスピーカーと見なされるだけの十分に広い帯域に対応するシステムが必要です。DSAは、様々な検証により、低域と高域のユニットを持つセパレート式の2ウェイシステムで構成されました。8kHz以上の高帯域の使用に耐えられるよう操縦する為には、ソース同士の間隔を50mm未満にする必要がありました。その検証結果からDSAでは小さなユニットに幅広のホーンを搭載し、41mm間隔で8本並べて構成しました。低域は100Hzまでの低い帯域で指向性を制御し、かつ、十分に再生できる大きいユニットが必要でしたが、さまざまな条件から決まったユニットは10cmで間隔は75mmでした。また、ユニットをジグザグに並べる事で、高めの帯域を操縦するのに最適な環境をつくりました。

DSAの電気的特長

DSAはデジタルシグナルプロセッサー(DSP)部、パワーアンプ部、通信部が内蔵されています。フルレンジスピーカーには図5の通り16のDSPとアンプチャンネルが入っています。ユニットが比較的小さいため、パワーアンプの定格出力も比較的小さいですが、16ものアンプが使われているので、十二分な出力レベルが得る事ができます。DSAは480W(低域は40W×8本、高域は20W×8本)です。スピーカーシステムにとってファンによる強制冷却は好ましくないため、能率の高いアンプの搭載アルミニウム製のエンクロージャーを生かして対流式冷却を採用しました。
「操縦」は専用のDSPで行い、クロスオーバー機能の他、イコライザー、ディレイ、ゲイン、コンプレッサーといったユーザー設定可能な入力パラメーターに関しては、別のDSPで処理します。DSPパラメーターの制御は内蔵のRS485通信機能で行います。そのため、スピーカーをRS485ネットワークに接続してパソコンから制御します。

PC制御の特徴

図6. DSA PilotのPC操作画面

DSAの調整やコントロールに関してはEAWのWindowsベースのソフトウェアである「DSA Pilot」にて行います。DSA Pilotは複雑なSRシステムの設計と設置の両方を補助するもので、特に高度な音響知識は不要で、簡単に扱えるソフトです。DSA Pilotにて、DSAの位置関係や現場の寸法を記載する事で必要なカバーエリアを算出します。この結果をDSAにアップロードする事でDSAはカバーエリアに合わせた垂直指向性を形作ります。

DSA Pilotの特徴
  • 垂直指向性パターンを簡単に設定可能
  • DSPの調整や最適化はプラグアンドプレイ
  • 誤操作を防止するため設定後はPC の取り外しが可能
  • モニターのため設定後もPC を取り付けておくことも可能
  • 入力イコライザー、シグナルディレイ、レベル、
    ハイパスフィルター、ローパスフィルター、
    コンプレッサーをクラスターごとにユーザー設定可能

DSAの物理的な特徴

  • ユーロブロック、Neutrik EtherCon、PowerCon で信頼性の高い接続を実現
  • 45Kg未満の重量で取り付け時建築構造にかかる負担を軽減
  • 取付は垂直のままでも下向き非対称カバーエリアを設定可能
  • 垂直面への取付金具は付属
  • エンクロージャーは取り付け時水平方向に±15 度まで回転可能
  • エンクロージャー吊り下げ用金具もオプションでご用意
  • エレガントなデザインと自然な色合いでさまざまな内装にマッチ
  • エンクロージャー背面の溝はケーブルの引き回しに使用

製品詳細

DSA250z

ユニットごとにDSPとパワーアンプを搭載しているため、DSA250zは垂直指向性をユーザー調整できるという特徴を備えています

オープンプライス

・寸法
横W(mm):237×高さH(mm)1290×奥行D(mm):237
・重量(kg):37.8
・消費電力(W):45

・形式:2ウェイフルレンジスピーカー
・構成:LF 4インチ×8、HF 1インチ×8
・指向性:水平120° 垂直 デジタルで可変
・周波数特性:200Hz~20kHz
・許容入力:Lo 40W×8、Hi 20W×8
・コネクタ:ユーロブック
・PCとの接続:標準RS-485

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設置調整について

作業 その1 設置

1.1 エンクロージャーの向き
>図1. DSAのコネクター接続部   図2. DSAの取り扱け方法

DSA250は高域部を可能な限りリスナーに近づける事を前提に設計されているため通常は高域部を下にして設置します。ただし、バルコニーなど上にあるエリアをカバーするときは高域部を上にして設置します。取り付けの際には本機の上下をどちらにするか、確認してから取り付けをおこなって下さい。
DSAの両端には「信号側」と「電源側」があります。(図1を参照)「信号側」には音声A、音声Bの入力コネクタ、DSA PilotをインストールしたPCとの通信を行うRS485のコネクタががあります。「電源側」にはAC 電源コネクターが付いています。付属のNeutrik Power-Con を使用してください。

1.2 取り付け

DSA250には壁面取付金具とエンクロージャー用金具が付いています(図2)。壁面取付金具はDSAの重量に耐えられる垂直な面等に取り付け、エンクロージャー用金具をDSAに取り付けます。あとはDSAを持ち上げて取り付け、水平方向での狙いを定めたら接続ボルトを締め付け、DSAを所定の位置に固定します。DSAを吊り下げなければならない場合は、オプションのサスペンション金具を用意しております。この場合でもDSA Pilotは対応可能です。

作業 その2 DSAとの通信

DSAへのアクセス

図3. DSAとPCの接続方法

DSAにアクセスするためにはRS-485通信を使用します。DSAのEIA-485(RS-485) ポートとDSA PilotがインストールされているPCを接続します。PCとの接続に関しては、RS-485をRS232CやUSBへ変換するコンバーターをご使用下さい。(別売)DSA1本を1つのスピーカーシステムとする場合はRS-485コネクターの隣にあるターミネートスイッチがONであることを確認してください。(図3を参照)

RS-485ネットワーク

DSAを複数台用いる場合ですが、1台目とPC間でのRS-485 ケーブルの接続は上記で記載の通り、コンバーターを用いて接続しますが、1台目のDSAと2台目のDSAはディージーチェーンにて接続します。
また、2台を1台のDSAシステム(クラスター)として扱う場合は付属のRJ-45 付きシグナルリンクケーブルを使って、シグナルリンクジャックで接続します。このケーブルでスピーカー間の音声も相互接続されます。
※複数台を使用する場合の詳細は取扱説明書をご覧下さい。

作業 その3 DSA Pilotにて調整

DSA Pilotでの操作の流れ
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図4. DSA Pilotのメイン画面

DSA Pilot はMicrosoft Windows™ ベースのプログラムで、Windows™ の標準的な操作ルールに従って操作するものです。DSA Pilot は設置された各DSA モジュールに接続し、オンライン状態で必要な指向特性を調整して行きます。DSAと接続しないオフライン操作でもパラメーターの操作は可能です。その場合は設計が終了後、DSAにアップロードし反映します。パラメーターは垂直指向性に作用します。指向性の設定が完了後は、各クラスターの入力シグナルプロセシングを調整します。設定可能なプロセシングには、入力GAIN、イコライザー、リミッター、シグナルディレイがあります。音響調整時には入力レベル、出力レベルやさまざまな動作状況をモニターすることもできます。現場での調整後はDSAシステムの設定内容をパソコンにファイルとして保存し完了となります。DSAを後で更新させる場合は、DSAにアクセスすることで調整完了後のファイルを呼び出したり修正することができます。パスワードプロテクト機能により、設計ファイルやDSAへ権限のないユーザーがアクセスできないように設定することも可能です。

垂直指向性(Steering:操縦)の設定
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図5. DSA Pilotの垂直指向性の設定画面

各DSAの指向特性の設定には2つの方法があります

Match Coverage to Listening Area
(リスニングエリアに合わせて指向性を設定する)

DSAの位置からカバーエリアの相対的な寸法を入力して設定する方法です。こちらが推奨の方法です。放射パターンをリスニングエリアの形状に最適化し、近い客席と遠い客席の距離、周波数特性、音質を計算します。同様に、この方法では定義したリスニングエリアに特化した放射パターンをカスタマイズします。それが、Spectral Consistency - Projection です。このスライダーはDSA が放射をどのように形成するか、つまり始点から終点までのエリアにサウンドエネルギーを放射する際の周波数とレベルの関係を設定するものです。中間点が3 ポイントあり、用途に合わせて音響特性を最大限に生かせるのでより精度の高い調整が可能です。

Spectral Consistency(スペクトルの一貫性)

近距離から遠距離まで周波数特性の一貫したハイファイ特性を作り出します。反響が余り多くない空間、あるいは音楽再生にお使いください。

Projection(放射)

特に遠距離向けに高域放射を最大にしながら音圧のばらつきを少なくします。反響が多い空間や、スピーチが中心の用途向けです

Specify Cluster Pattern( クラスターの指向性を指定する)

この方法は放射幅と操縦角度を入力して従来のスピーカーが作り出す放射タイプで結果を出します。この方法では似たような放射幅を持つ従来のスピーカーのようなカバレージが得られます。

音響調整の方法
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図6. DSA PilotのEQ調整画面

・EQの調整

このモードではDSAの周波数特性を調整するときに使用します。この調整はDSAの周波数特性を入力ごと(Audio AとAudio B) に調整するためのものです。EQはユーザー選択可能なフィルターで6つまで使用できます。1から6で色分けされたボタンで各フィルターを選択して調整を行います。さらにローパスとハイパスフィルターを用いて調整することも可能です。

・その他の調整部
Limiter
出力レベルが設定したレベルを超えないように制限するために使います
Delay
DSAにかけるシグナルディレイを設定します。
Gain
音声入力信号のゲインを設定します。
Mute
このボックスにチェックマークを付けると選択した入力がミュートされます。
Amp Shutdown アンプのシャットダウン

図7. アンプのシャットダウン設定画面

DSAではアンプシャットダウン機能が搭載され、省エネルギー対策を含めて3つのオプションでアンプの電源を制御します。

・Amplifiers Always On…

このオプションは全DSAのパワーアンプ部の電源は常にON になったままです。AC電源が供給されていてこのオプションが選択されている限り、DSAのパワーアンプ部は電源が入ったままになっています。

・Amplifiers Always Off…

全DSAクラスターのパワーアンプ部の電源を切るとき、このオプションを選択します。
このオプションが選択されている限り、電源は切れたままです。このオプションを選択するとDSA 本体に電源を供給していても全クラスターの機能は停止します。このオプションは設置工事中、トラブル解決時に便利です。

・Shutdown in xxx min…

省電力機能で、使用していない間はDSA の電流を減らすオプションです。
min に分、second に秒を入力しておくと、その期間入力信号が入ってこなければ全クラスターのアンプ部がシャットダウンします。入力を感知するとパワーアンプが起動し、シャットダウンまでの期間がリセットされます。

Priority Override

Priority Override タブはプライオリティ機能の調整に使用します。この機能は音楽や他の入力信号を抑えてページングアナウンスを流す場合などに使用します。実際にはAudio B の入力に信号が検知されたときAudio A 入力のゲインが下がります。Audio B の信号が消えるとAudio A の信号レベルが復帰します。

自己診断機能(Diagnostics)

Diagnosticsダイアログボックスは選択したDSAモジュールの機能ステータスに関する情報を提供するものです。DSAの型番、Network ID、バッテリーの状態を表示します。バッテリーは本体の電源が切れている間、プロセシングや他の設定をメモリーを保存しておくためのものです。他に、ファームウェアのバージョン、パスワードプロテクト、アンプの状態、温度等を表示します。